
ジュゼッペ・トルナトーレ&ミンモ・ピンタクーダ写真展
ニュー・シネマ・パラダイスといえば、良き日のシチリアの風景がとても印象的ですよね。インターネットも、ファストフードもテレビもなかったあの時代…。
地中海文化全体として、今でも古き良き時代を大切にする市民性がありますので、人もモノも日本にくらべると緩やかに現代化してしてきている印象がありますが、それでもやはり 70年代などに比べれば大きく変化してきていることにかわりはありません。
そんな1950年代から70年代にかけてのシチリアの人々や日常生活、情景を記録した写真展がイタリア文化会館で企画されています。また、あわせて「ニュー・シネマ・パラダイス」の上映会も行われるそうです。
「ニュー・シネマ・パラダイスの原風景」は、世界的に著名なイタリアの映画監督ジュゼッペ・トルナトーレと、映写技師で写真家のミンモ・ピンタクーダの写真展です。ふたりは、トルナトーレ監督の映画作品「ニュー・シネマ・パラダイス」の主人公トトと映写技師アルフレードのように、強い絆で結ばれていました。アルフレードのモデルはピンタクーダだと言われており、トルナトーレにカメラの手ほどきをしたのも映画を教えたのもピンタクーダでした。
本展では、トルナトーレの作品30点、ピンタクーダの作品15点の計45点を展示します。それらは、1950年代から70年代にかけてのシチリアの人々や日常生活、情景を撮った写真で、ふたりがカメラに収めたこれらの世界と、トルナトーレが後に映画作品で描いた世界のつながりを見ることができます。
乾いた大地、海沿いのそぞろ歩き。女たちが洗濯をし、子供たちがサッカーに興じる街角。広場で声を張り上げている行商人、人々がオシャレをして繰り出す日曜日。そして映画館。これらは、トルナトーレが「ニュー・シネマ・パラダイス」のなかで描いた世界そのものです。
本展では、写真作品のほか、「ニュー・シネマ・パラダイス」のオリジナルポスター4点と衣装スケッチ5点もあわせて展示します。
お問い合せはイタリア文化会館まで
eventi.iictokyo@esteri.it
Tel. 03-3264-6011(内線13, 29)
展覧会関連企画
ジュゼッペ・トルナトーレ監督
「ニュー・シネマ・パラダイス」上映会
(1989年, イタリア=フランス, イタリア語版日本語字幕付, 124分)
9月19日(土)15時(開場14時30分)
イタリア文化会館アニェッリホール
入場無料
お申し込み:件名を「9月19日上映会」として、お名前、電話番号、参加人数を明記の上、メールにて eventi.iictokyo@esteri.it までお申し込みください。
ジュゼッペ・トルナトーレ Giuseppe Tornatore (1956- )
1956年バゲリーア(パレルモ県)生まれ。弱冠16歳で、L.ピランデッロやE.デ・フィリッポの戯曲を演出している。映画監督としてデビューする前に、テレビのドキュメンタリー作品を撮っている。映画監督第一作は、ベン・ガッザーラ主演の「教授と呼ばれた男」(Il Camorrista, 1986)。1988年製作の「ニュー・シネマ・パラダイス」(Nuovo Cinema Paradiso)は、カンヌ国際映画祭審査員特別賞やアカデミー賞外国語映画賞を受賞した。その後撮った作品のなかには、故郷バゲリーアでの物語「シチリア!シチリア!」(Baarìa, 2009)をはじめ、「明日を夢見て」(L’uomo delle stelle, 1995)、「マレーナ」(Malena, 2000, モニカ・ベルッチ主演)などシチリアを舞台にしたものや、「みんな元気」(Stanno tutti bene, 1990, マルチェロ・マストロヤンニ主演)、「記憶の扉」(Una pura formalità, 1994, ジェラール・ドパルデュー、ロマン・ポランスキー主演)、「海の上のピアニスト」(La leggenda del pianista dull’Oceano, 1998, ティム・ロス主演)、「題名のない子守唄」(La sconosciuta, 2006)、「鑑定士と顔のない依頼人」(La miglior offerta, 2013, ジェフリー・ラッシュ主演)がある。ドキュメンタリー作品には、ヴィスコンティ監督作品「山猫」を製作した映画プロデューサー、ゴッフレード・ロンバルドについての作品L’ultimo gattopardo(「最後の山猫」, 2010)などがある。
ミンモ・ピンタクーダ Mimmo Pintacuda (1927-2013)
映写技師として働くうちに、写真への関心が芽生え、故郷のバゲリーアや周辺の日常生活を撮るようになる。その作品は1万点以上を数え、多くの写真展で紹介される。主な個展に、Quando i bambini non ci guardano(「子どもが私たちを見ていないとき」, 1967)、La grafiafoto(「グラフィーフォト」, 1973)、Bagheria ieri e oggi(「バゲリーア 今むかし」, 1980)、Anziani(「高齢者」, 1990)がある。1969年にシカゴに行き、アメリカへ渡ったイタリア移民をカメラに収めた。それをもとに写真展Diario di un emigrante(「ある移民の日記」, 1977)が開催され、図録には、親友の画家レナート・グットゥーゾが寄稿している。グットゥーゾのコレクションから成るバゲリーア市立レナート・グットゥーゾ美術館で、2005年3月19日にジュゼッペ・トルナトーレが自著Mimmo Pintacuda cinquant’anni di fotografia(「ミンモ・ピンタクーダ 50年間の写真の記録」)のプレゼンテーションを行った。