1978年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したイタリア映画史に燦然と輝く名作『木靴の樹』(3月26日より岩波ホールほか全国で順次公開)の名匠、エルマンノ・オルミ監督の最新作『緑はよみがえる』が毎年恒例のGWイベントのイタリア映画祭に先がけ、4月23日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開とのことです。
以前 私のブログでも南チロルのボルツァーノを訪れた時のことを記事にしましたが、スーパーマーケットやパン屋など、日常の会話にイタリア語とドイツ語の両方が飛び交うこの地域一帯は、つい100年前、戦場でした。第一次世界大戦下のイタリア。監督の父が若き兵士として駆り出された戦争の事実をもとに、名匠エルマンノ・オルミ監督とその家族がその当時を描いた映画です。
映画概要
映画史に残る名作『木靴の樹』(78/カンヌ国際映画祭パルム・ドール)、『聖なる酔っぱらいの伝説』(88/ヴェネチア国際映画祭金獅子賞)など数々の傑作を生み出し、2008年には、日本人では黒澤明、宮崎駿が受賞しているヴェネチア国際映画祭栄誉金獅子賞を受賞している名匠エルマンノ・オルミ。その最新作『緑はよみがえる』は、83歳になったオルミ監督が、父への想いを込めて完成させた特別な作品で、第一次世界大戦下のイタリアで、父親が若き兵士として経験した事実をもとに描かれている。
監督:エルマンノ・オルミ 1931年7月24日生まれ。53年、22歳で映画監督としてデビュー。78年ベルガモ地方の小作農民たちの暮らしを描いた『木靴の樹』で、第31回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞を受賞。88年にはヨーゼフ・ロートの小説を原作にした『聖なる酔っぱらいの伝説』がヴェネチア国際祭で金獅子賞を受賞。近作に『ポー川のひかり』(07)、『楽園からの旅人』(11)がある。76年から、本作の舞台となるベネト州アジアーゴ高原に暮らす。
舞台は、1917年冬、第一次世界大戦下の北イタリア・アジアーゴ高原。イタリア軍とオーストリア軍は、塹壕を掘って対峙し、戦況は膠着している。ある日、そんな前線にまだ少年の面影を残す若い中尉が送られてくる———。
冬山の厳しい自然を、このうえなく美しい映像で表現したのは、監督の息子でもある撮影監督のファビオ・オルミ。娘のエリザベッタ・オルミがプロデューサーを務め、父オルミがずっと胸に抱き続けて来た父親への想いを映画に残すため、家族の力を結集しました。
出演は『海と大陸』『最後のキス』などで知られるクラウディオ・サンタマリア、『ジョルダーニ家の人々』のアレッサンドロ・スペルドゥティはじめとする実力派俳優たち。名もなき市井の人々を人間愛に満ちたまなざしで描き続けてきたオルミ監督らしく、塹壕の中の兵士一人一人の人間性を見つめています。ベネト州アジアーゴ高原の静かで厳しい自然の中に暮らすオルミ監督のまさに集大成と言える、心に響く映画芸術が誕生したと言えるでしょう。
ストーリー
1917年冬、イタリア・アルプス山中のアジアーゴ高原。冴え冴えと輝く月に、山が美しく照らされている。イタリア軍兵士の歌うナポリ民謡が、静まりかえった夜に響き渡り、姿をみせないオーストリア軍兵士からも、歌をせがむ声が聞こえてくる。塹壕に身をひそめ、寒さと死の恐怖におびえる兵士たちにとって唯一の楽しみは、家族、恋人から送られてくる手紙だけだ。着任したばかりの若い中尉は、想像とは違う初めての戦争に戸惑いながら、母への手紙にこう綴る。
「愛する母さん、一番難しいのは、人を赦すことですが、人が人を赦せなければ人間とは何なのでしょうか」と。やがて一時の平和は破られ、オーストリア軍の激しい砲撃が開始される・・・。
- 監督:エルマンノ・オルミ(「木靴の樹」「ポー川のひかり」)
- 撮影監督:ファビオ・オルミ
- プロデューサー:ルイジ・ムシーニ、エリザベッタ・オルミ
- 出演:クラウディオ・サンタマリア(「海と大陸」)、アレッサンドロ・スペルドゥーティ(「ジョルダーニ家の人々」)ほか
- 2014年 / イタリア / 76 分 / 1:1.85 / 5.1ch / DCP 原題 torneranno i prati
- 後援:イタリア大使館
- 特別協力:イタリア文化会館
- 提供:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ/シネマクガフィン/朝日新聞社
- 配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ
4月23日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開!!